福井県の女性の働く環境と地域的特性/福井県における女性創業支援(第1章)

«

»


次ページ » 第2章 福井県の女性に必要な創業支援とは何か

  2  3  4  次へ » 

はじめに

ふくい産業支援センターでは、平成27年4月に「ふくい創業者育成プロジェクト」を立ち上げて以来、福井県内の創業・ベンチャー支援に積極的に取り組んでいます。

「創業支援」では、創業に興味のある段階から、創業後、事業を軌道に乗せるまで、創業相談窓口各種創業セミナーなど豊富な支援メニューを取りそろえて、一気通貫で支援してます。

また「ベンチャー支援」では、福井県内初の本格的ピッチイベント「福井ベンチャーピッチ」立ち上げるなど、県内のベンチャー企業の事業拡大を支援しています。

おかげさまで、年齢・性別問わず、多くの方にご利用いただいているふくい創業者育成プロジェクト事業ですが、今回は、テーマを「福井県における女性創業支援」にしぼり、レポートにまとめました。

ふくい産業支援センターでは、平成27年4月から独自の「福井式」女性創業支援スキームを構築し、女性向けの創業支援をしています。

本レポートでは、「そもそもどうして、このような独自の支援スキームをつくったのか」「この支援スキームを運用して、どのような成果が得られたか」など、くわしく書いています。

ふくい産業支援センターの女性創業支援のコンセプトや事業内容を知っていただき、より多くの方にご利用いただけるとうれしいです。

(本レポートでは平成29年6月末でデータをいったん区切っていますが、女性創業支援は継続して行っています。)

第1章 福井県の女性の働く環境と地域的特性

(1)働き者の女性が多い福井県

福井県の平成29年6月の有効求人倍率は2.09倍です。また、平成27年の国勢調査では、福井県の女性の就業率は52.6%と、どちらも全国1位です。

働く場所が多く、女性が働いている割合が高い福井県では、男性だけでなく、女性も仕事をもって働くことはごく自然なことと考えられています。

そういった理由から、福井は「働き者の女性が多い県」として全国的に注目され、メディアで紹介される機会も多いです。

(2)福井県の働く女性を取りまく厳しい環境

一方で、福井県の男女間の賃金格差は全国平均よりも大きいです。

男女間で賃金格差が生じる要因として、一般的に、「女性は男性よりもアルバイトやパートなどの非正規雇用の割合が高い」や「女性は男性よりも勤続年数が少ない」などが挙げられます。

ですが福井県の場合は、女性の正社員率は53.9%と全国2位(※平成27年の国政調査)、女性の勤続年数の長さは全国3位(※平成27年賃金構造統計調査)と、どちらもトップクラスであるにも関わらず・・の結果です。

女性の管理職の割合が、全国36位(※平成24年就業構造基本調査)と全国平均を大きく下回っているというデータもあり、福井県の女性の場合は、職場ではどちらかというと補助的な業務にたずさわることが多く、その意欲や能力を十分に発揮しにくい状況にあります。

そういった意味では、福井県の働く女性を取りまく環境は厳しいとも言えます。

(3)就職を重視する価値観

福井県は社長さんが多い県としてとても有名です。「人口10万人あたり社長数34年連続日本一(※帝国データバンク)」という記録があります。

一方で、福井県の開業率は3.8%・廃業率は3.5%と、いずれも全国平均(開業率4.6 %・廃業率3.8%)を下回っています。(※厚生労働省「雇用保険事業年報」(2012))

社長さんの数は多いものの、地域社会の活力が高まっているとは言いづらい状況です。

また地元の福井大学は、平成27年度の就職率は全国平均が86.6%のところ、96.8%と高い就職率を誇り、「9年連続日本一」 という記録を達成しています。

福井大学では、数年前から起業教育に積極的に取り組んでいますが、やはり「いい大学に行って、いい会社に就職する」という考えは根強いてす。

多くの学生が就職を決めることが卒業後の進路であると考えている中、会社への就職以外は、女性たちの視野にほとんど入っていない状況です。

(4)福井県の女性がいきいきと輝き続けるために

福井県は、就職できる機会が豊富で、就職して働くということが当たり前という土壌があります。そして、前に出たがらない奥ゆかしい県民性でもあります。

たとえ「創業」の夢があったとしても、周りに気兼ねして心に秘めてしまうという方も少なくありません。

もちろん、「自分の夢(創業)にむかってがんばろう!」と思い切って創業する女性も存在しますが、その割合はまだまだ少ないです。

福井県の女性がいきいきと輝き続けるためには、積極的に夢(創業)を実現できる環境を整え、継続してサポートできる仕組みを作ることが必要です。

次ページ » 第2章 福井県の女性に必要な創業支援とは何か

  2  3  4  次へ » 

◆担当者プロフィール◆
大学卒業後、勤めていた職場を出産を機に退職。子どもが1歳の時、社会保険労務士試験にチャレンジし、合格。翌年、個人事務所を開業。経営と育児と家事を両立させながら、企業の顧問、労働局の総合労働相談員、人材育成コンサルタントなどに取り組む。2015年4月に(公財)ふくい産業支援センターに入社。県内の創業・ベンチャー支援業務を担当し、現在に至る。(ふくい産業支援センター/岡田 留理)

■現在募集中の福井県の起業セミナー・起業家向け勉強会情報
https://www.s-project.biz/seminar
■福井県の起業・創業相談窓口
https://www.s-project.biz/consultation-business/founded-manager
■ふくい創業者育成プロジェクト事務局ブログ
https://www.s-project.biz/staff-blog

■問合せ先

公益財団法人ふくい産業支援センター
創業・Eビジネス支援グループ 岡田
Tel:0776-67-7416
E-mail:ebiz-g@fisc.jp
HP:https://www.s-project.biz/


The following two tabs change content below.

岡田 留理(おかだ るり)

公益財団法人ふくい産業支援センター職員。特定社会保険労務士。 開業社労士時代は、中小企業の顧問、労働局の総合労働相談員、人材育成コンサルタントを経験。2015年にふくい産業支援センターに入職した。 2015年よりふくい創業者育成プロジェクト(現ふくいベンチャー創出プロジェクト)を担当。2017年に「福井ベンチャーピッチ」を立ち上げ、県内ベンチャー企業の登竜門となるピッチイベントへと成長させる。2018年、近畿経済産業局が取りまとめる関西企業フロントラインにて、関西における「中小企業の頼りになる支援人材」として紹介された。 ★President Onlineに寄稿した記事→http://urx2.nu/pVYq

最新記事 by 岡田 留理(おかだ るり) (全て見る)

«

»