女性創業支援2年余りの成果とその活用事例/福井県における女性創業支援(第4章)

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第4章 女性創業支援2年余りの成果とその活用事例

(1)「福井式」女性創業支援スキームの2年余りの成果

「福井式」女性創業支援スキームにより、その時々のタイミングに合わせて支援した結果、

ふくい創業者育成プロジェクトが運営する創業相談窓口に、平成27年度以降に来られた相談者延人数は、平成29年6月末現在で800人以上にのぼり、男女含めて創業者を100人近く生み出しています。
 

平成27年度
相談者延人数 318人
創業者数 31人
平成28年度
相談者 390人(うち女性230人)
創業者数 44人(うち女性27人)

※ふくい創業者育成プロジェクトが運営する創業相談窓口利用者調べ
 

平成28年度の1年間の実績で見ると、相談に来られた延べ人数は390人で、うち女性は230人でした。
また、平成28年度に創業した方は44人で、そのうち女性は27人でした。男性よりも女性の方が多く創業したことも、注目すべき点の1つです。

(2)「福井式」女性創業支援スキームの活用事例

最後に、「福井式」女性創業支援スキームを経たことで、創業を途中であきらめることなく準備に取り組み、創業を実現させた方の事例をご紹介します。

事例① 創業に興味のある段階から3年を経て、創業準備に取り組んでいる事例

《Aさん(30代)・小売業・平成30年春創業予定》
女性創業セミナー「Meet Up☆スクエア」⇒ 女性創業チャレンジ塾 ⇒ 創業マネージャー個別相談

会社に勤務しながらも、以前から何か新しいことにチャレンジしたいと思っていたAさん。平成27年に、女性創業セミナー&交流会「Meet Up☆スクエア」に参加したことをきっかけに、創業したいと強く思い始めました。

「創業についてもっと具体的に考えたい」と思ったAさんは、平成28年に女性創業チャレンジ塾を受講。

カリキュラムを通じて、自分自身の棚卸しを行い、ビジネスに対する心構えを学んでいく中で、「自分の頭の中で漠然と描いているイメージでは、地に足の着いた創業はできない・・」と気づいたそうです。

その後、創業マネージャーのサポートを受けながら事業コンセプトを固め、創業計画書を完成させたAさん。現在は平成30年春の開業を目標に創業準備に取り組んでいます。

「創業したいと思ってから実際に創業準備に取り掛かるまでに3年かかりましたが、おかげでようやく自分らしい創業のカタチを実現できそうです。」と笑顔で語ります。

事例② 女性創業セミナーと女性創業相談窓口を定期的に利用しながら創業を決意した事例

《Bさん(40代)・食品製造・販売業・平成29年春に創業》
女性創業セミナー「Meet Up☆スクエア」 ⇔ 女性創業相談窓口 ⇒ 創業マネージャー個別相談

もともと、働く選択肢の1つとして「創業」に興味があったBさん。平成28年春に「人脈が広がるきっかけになれば」と軽い気持ちで女性創業セミナー&交流会「Meet Up☆スクエア」に参加したことで、「もっと創業について知りたい」という気持ちが芽生えました。

その後、女性創業相談窓口や女性創業セミナー&交流会「Meet Up☆スクエア」に定期的に通いながら、創業への思いを整理していき、平成28年秋に以前からやりたかった食品の製造・販売で創業することを決意しました。

創業決意後は、創業マネージャーのサポートのもとに「誰に・何を・どう売るのか」といった事業コンセプトを固めながら創業準備を進め、平成29年春にお店をオープンしました。

見た目の美しさや味のおいしさから売れ行きも好調で、現在はより一層の顧客や販路の新規開拓に取り組んでいます。

事例③ 創業支援担当者による支援策の提案をきっかけに、創業に至った事例

《Cさん(30代)・食品製造・販売業・平成30年春創業予定》
女性創業セミナー「Meet Up☆スクエア」⇒ 創業支援担当者への相談 ⇒ 創業マネージャー個別相談

長年積み上げてきた実績とざん新なアイデアで新商品を開発したC さん。その商品を製造・販売して創業したいと考えていたCさんでしたが、金銭面の心配から家族に賛成してもらえず、創業を決断できない状態が続く中で女性創業セミナー&交流会「Meet Up☆スクエア」に参加しました。

創業支援担当者がそんなCさんの悩みを聞き、さまざまな支援策を提案しました。その中でCさんが関心をもったのが創業補助金の活用でした。

創業マネージャーのサポートを受けながら創業計画書を作成し、無事に補助金が交付されることが決まったC さん。資金調達の見通しも立ち、ようやく創業準備に取りかかれるようになったと笑顔で話します。

現在は、複数名の従業員の雇用を予定し、平成30年春の開店に向けて忙しい毎日を送っています。

むすび

ふくい産業支援センターでは、福井県の女性にマッチした創業を支援するにあたり、創業に興味のある女性、創業しようか迷っている女性、思い切って創業したけれど売上げがのびず悩んでいる女性など、多くの女性にインタビューさせていただくことを通じて、

「福井県の地域的特性や女性を取り巻く環境はどのようなものか」
「男性と女性では、創業に向けての意識や行動にどんな違いがあるのか」

など走りながら考え、工夫を凝らし、結果を踏まえて改善を重ねてきました。

おかげさまで、福井県の女性の創業を支援するにあたって一定の成果を上げることができましたが、これまでの経験をふまえると、やはりその地域的な特性を考慮した創業支援策でなければ、十分な成果を上げることは難しいと実感しています。

また、現在実施している女性向けの創業支援メニューは福井県の実情に合わせた内容になっていますが、ホームページをご覧になった近県の方から「受講したい」という声をいただくことも多いです。

現時点では、福井県で創業をお考えの方以外の方からの受講はお断りさせていただいておりますが、今後は他府県の創業支援担当者と横のつながりを持ちながら、女性の創業における広域的な連携をつくっていけたらと考えています。

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◆担当者プロフィール◆
大学卒業後、勤めていた職場を出産を機に退職。子どもが1歳の時、社会保険労務士試験にチャレンジし、合格。翌年、個人事務所を開業。経営と育児と家事を両立させながら、企業の顧問、労働局の総合労働相談員、人材育成コンサルタントなどに取り組む。2015年4月に(公財)ふくい産業支援センターに入社。県内の創業・ベンチャー支援業務を担当し、現在に至る。(ふくい産業支援センター/岡田 留理)

■現在募集中の福井県の起業セミナー・起業家向け勉強会情報
https://www.s-project.biz/seminar
■福井県の起業・創業相談窓口
https://www.s-project.biz/consultation-business/founded-manager
■ふくい創業者育成プロジェクト事務局ブログ
https://www.s-project.biz/staff-blog

■問合せ先

公益財団法人ふくい産業支援センター
創業・Eビジネス支援グループ 岡田
Tel:0776-67-7416
E-mail:ebiz-g@fisc.jp
HP:https://www.s-project.biz/


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岡田 留理(おかだ るり)

公益財団法人ふくい産業支援センター職員。特定社会保険労務士。 開業社労士時代は、中小企業の顧問、労働局の総合労働相談員、人材育成コンサルタントを経験。2015年にふくい産業支援センターに入職した。 2015年よりふくい創業者育成プロジェクト(現ふくいベンチャー創出プロジェクト)を担当。2017年に「福井ベンチャーピッチ」を立ち上げ、県内ベンチャー企業の登竜門となるピッチイベントへと成長させる。2018年、近畿経済産業局が取りまとめる関西企業フロントラインにて、関西における「中小企業の頼りになる支援人材」として紹介された。 ★President Onlineに寄稿した記事→http://urx2.nu/pVYq

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