県内の成長意欲の高いベンチャー企業をご紹介するシリーズ。今回は、越前漁港の買参権を強みに、鮮魚の仲卸業から食品メーカーへ舵を切り、水産業の6次産業化で世界を目指す、株式会社鮮魚丸松(福井市)の事例をご紹介します。
創業直後から業績は右肩上がり
株式会社鮮魚丸松は、社長の五島輝幸氏が2016年に創業した、鮮魚の卸売りやEC、飲食店など、水産業の6次産業化を展開する会社です。
五島社長が大学を中退して鮮魚卸の業界に入ったのは、実家の鮮魚卸会社の事業悪化がきっかけでした。魚の目利きや捌き方などを現場で学び、職人として大成。2016年に福井市に株式会社鮮魚丸松を創業しました。
同社は、越前漁港の買参権を取得し、漁港で直接鮮魚を買い付けられるのが最大の強みです。産地直送の鮮度の良さと、卸ならではのお値打ち価格が評判を呼び、業績は右肩上がりに伸びていきました。
危機感をバネにビジネスを拡大
業績好調の一方で、五島社長は危機感も抱いていました。というのも、鮮魚は年間の価格変動が大きく、仲卸事業者は価格変動の煽りを受けやすいのです。五島社長は、事業の成長を目指すためには、外的要因の影響を受けやすい仲卸業から、成長可能性の高い食品メーカーへと、今後は主軸事業を転換していく必要があると判断し、大きく舵を切る決断をしました。
その後は、鮮魚の卸売りを中心としつつも、飲食やECなど業態を派生させていき、売り上げはさらに拡大していきました。
ピッチイベントで新たなビジネスプランを発表
IPOを視野に入れ始めた五島社長は、さらなる成長を目指し、2021年5月に当センターの「福井ベンチャー塾」に参加。ビジネスモデルのブラッシュアップに取り組んだ後、福井ベンチャーピッチ(2021年11月)に登壇しました。
投資のプロを前に、新たなビジネスプランを発表。越前市に大規模な水産加工場を新設し、瞬間冷凍させる技術「プロトン凍結機」を自社仕様で導入するなど、その斬新な6次産業化のアイデアは話題を呼びました。
鮮魚の仲卸業から食品メーカーへ
2022年1月 、いよいよ水産加工場が完成。同社は、水産加工品メーカーとして、中央魚市や商社などへの販路拡大に着手。さらには、2023年4月に北陸新幹線の新駅「越前たけふ駅」に隣接した施設「道の駅 越前たけふ」を開業するなど、五島社長の快進撃は続きます。
日本初のレンチン寿司を開発
2023年5月、同社は協力会社と共同で、最新技術を駆使した冷凍寿司を開発しました。レンジでチンして握りたての味を楽しめる、日本初のレンチン寿司です。
五島社長は、2023年5月放送のテレビ番組「がっちりマンデー!」の出張イベントにも登壇。冷凍寿司のPRに精力的に取り組んだことが功を奏し、販売開始直後から、大きな反響をいただいているのだそう。
「日本国内にとどまらず、海外からの問い合わせも相次いでいる。越前ブランドを確立し、全国・世界に知らしめたい」と五島社長は意気込みます。
担当者のつぶやき
「6次産業化」とは、農畜産物の生産だけでなく、製造・加工(2次産業)やサービス業・販売(3次産業)にも取り組むことで、生産物の価値をさらに高め、所得の向上を目指す取り組みです。
今回の記事を読んで「6次化に取り組んでみたい!」と思われた福井県内企業経営者の皆さま、ぜひ気軽に当センターにご相談ください!
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本記事は、ふくい産業支援センターが発行している情報誌「F-act」に掲載されています。
★情報誌 F-ACT(ファクト)
https://www.fisc.jp/fact/
岡田 留理(おかだ るり)
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